予約・CRM・LINE公式・電子カルテなどには、導入したまま使われていない機能が多く眠っています。この記事の棚卸しリストで「使っていない機能」は自院で数えられますが、「なぜ使われないか」の構造は、業務フローとスタッフの動きを現場で見ないと分かりません。なお本記事は特定ベンダーの比較・序列化を行いません。
- 導入したシステムの機能は、多くが使われないまま眠っています。コストだけ払って価値を取り切れていない状態です。
- この記事の棚卸しリストで、御院の「使っていない機能」は自分で数えられます。
- ただし「なぜ使われないか」は、機能の問題ではなく業務フローとの噛み合わせの問題であることがほとんどです。
- 構造の要因(誰の手が止まるか、どこで入力が途切れるか)は、現場を見ないと特定できません。
- 本記事は特定のベンダーを比較・序列化しません。中立性は、私たちがこの仕事で最も大切にしている前提です。
システムを入れ替えたい、という相談は多いのですが、話を聞くといま入っているシステムの機能の大半が使われていないことがよくあります。新しいものに替えても、使われない機能がまた増えるだけ——そうなりやすいと考えています。
そこでまず、いま持っている道具の棚卸しから始めます。この記事のリストで、御院が「払っているのに使っていない機能」は自分で数えられます。ただし、その先の「なぜ使えていないのか」は、リストだけでは分かりません。理由は後半で書きます。
※ 本記事は特定の予約システム・CRM・カルテ製品を批判・比較・序列化するものではありません。製品名に触れる場合も、各社が公表している事実の範囲にとどめます。
01「導入したのに使われない」はなぜ起きるのか
機能が使われない理由は、たいてい「機能が悪いから」ではありません。多くは、業務フローとの噛み合わせの問題です。
- 導入時に一部の機能だけ設定し、残りは「あとで」のまま放置されている
- 使うと誰かの手間が増えるため、現場が自然と使わなくなった
- 入力が一箇所で途切れ、データが溜まらず、機能が意味をなさなくなった
- 担当者の異動・退職で、設定・運用の知識が引き継がれなかった
つまり、眠っている機能は「使えない」のではなく、使われる流れになっていないだけであることが多い。だからこそ、まず何が眠っているかを可視化する価値があります。
02棚卸しリスト ― 御院で「数えられる」チェック
カテゴリごとに、「導入しているのに実質的に使っていない機能」に当たりをつけます。当てはまるものにチェックを入れてください。これは自院だけで数えられます。
- Web予約は入れているが、電話予約が大半で機能を活かせていない
- 自動リマインド機能があるのに、設定していない/一部しか使っていない
- キャンセル待ち・事前決済などの機能が、契約に含まれているのに未使用
- 来院履歴は溜まっているが、セグメント抽出や分析には使えていない
- 失客・離脱を自動で拾う機能があるのに、活用していない
- タグ・メモの運用ルールがなく、人によって入力がバラバラ
- 友だちは集まっているが、一斉配信しかしておらず、セグメント配信を使っていない
- ステップ配信(順を追った自動メッセージ)機能が未設定
- 予約システムとの連携機能があるのに、繋いでいない
- 予約・カルテ・会計が別々で、患者ごとの通算金額(LTV)が見えない
- レポート・ダッシュボード機能があるのに、見ていない
チェックがついた数だけ、払っているのに取り切れていない価値があるということです。まずはこの本数を、正直に数えてみてください。
03数えられても、「なぜ使われないか」は現場でしか分からない
ここが、この記事の分かれ目です。眠っている機能は、リストがあれば自分で数えられます。しかし「なぜ、その機能だけ使われないのか」は、リストでは分かりません。
たとえば同じ「自動リマインド未使用」でも、理由はさまざまです。
- 設定作業を誰も引き受けられていない(人の問題)
- 設定はしたが、文面が実態に合わず、現場が手動に戻した(運用の問題)
- 予約データの入力が途中で途切れ、リマインドが正しく飛ばない(データの問題)
どれなのかで、打ち手はまったく変わります。そしてこれは、実際に誰がどう動いているかを見ないと特定できません。機能の使用率という「結果」は数えられても、その背後の「構造」は、現場に入って初めて見えます。
だからこの記事は、棚卸しの道具までをお渡しします。数えるのは御院で。その先の「なぜ」と「どう直すか」は、現場を見て一緒に決める領域です。
04「入れ替え」の前に、いまの道具を使い切る
新しいシステムの検討は、棚卸しの後が健全です。いま眠っている機能の理由を掴まないまま入れ替えると、同じ構造で新しい機能がまた眠るからです。
順番としては、こう考えます。
- いまのシステムで眠っている機能を数える(この記事のリスト)
- なぜ使われないか、構造の理由を現場で特定する
- いまの道具で埋められる分を埋める
- それでも足りない要件が残ったときに、初めて入れ替えを検討する
製品の優劣ではなく、御院の業務にどう噛み合わせるかが価値の大半を決めます。だから私たちは、特定ベンダーの比較記事を書きません。中立でいることが、この仕事の前提だと考えているからです。
—まとめ
予約・CRM・LINE・カルテには、払っているのに使われていない機能が眠っています。この記事のリストで、その本数は自院で数えられます。まずは正直に数えるところから。
ただし「なぜ使われないか」は機能ではなく業務フローの問題であり、現場を見ないと特定できません。入れ替えの検討は、いまの道具を使い切ってから。そして製品の優劣ではなく、御院の業務との噛み合わせが価値を決めます。だから私たちは、ベンダーを比較・序列化しません。
この記事で、どの予約システム/CRMが良いか教えてもらえますか?
眠っている機能が多い場合、すぐ入れ替えたほうがいいですか?
「なぜ使われないか」を自分たちで特定できませんか?
執筆:山本翔太(バイタリティデザイン合同会社 代表)建物の通信・ネットワーク・防犯設備をつくる、職人が動く現場を持つ事業会社に在籍しています。手順が飛ばされる理由や、あとから検証できなくなる工程がどこかを、管理する側ではなく動く側から見てきました。自由診療・美容医療については、自ら複数の施術を受けた当事者でもあります。カウンセリングで何を聞かれ、どこで迷い、何に警戒するかを、患者の側から知っています。男性ウェルネスブランド〈His Recoveries〉を運営。
眠っている機能は、御院で数えられます。ただ、なぜ使われないのか——人・運用・データのどこで詰まっているかは、現場を見ないと分かりません。
御院の道具は、使い切れているか。
御院のシステムのどの機能が眠り、なぜ使われないのか——継続診断で、実際の業務の流れを観て1枚に整理します(ベンダーの優劣は判定しません)。
伺った内容をもとに、どの工程で取りこぼしが起きているかの見立てを1枚にしてお返しします。無償です。売り込みはしません。